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ところで、パンツはいてますか?

今日の書き手:古越 幸太

 

「われわれはですね。売り方のイノベーションを起こすのです」

 

そんな編集長の言葉を聞いて、イノベーションについて考えてみました。

 

池田信夫さんは著書イノベーションとは何かで、イノベーションとは経営改革であり、必ずしも技術の革新が必要条件ではないと述べます。

 

イノベーションのジレンマを綴ったクリステンセン教授は、かつて業界でナンバーワンだった企業がなぜ新興企業に負けるのか。その理由を説いています。

 

既存の思考の枠組み・常識にとらわれず、まったく別の観点から物事を捉えることで得られる気付き。それがイノベーションの始まりということでしょうか。ふむふむ。

 

ぼくら社は本をつくる会社です。出版業務の経験がない、いわゆる素人が集まった会社です。

 

出版業界でイノベーションを起こすには、それとはまったく関わりのない人間だからこそ起こせるのではないか。そう考え、各々に会社を持つメンバーが集まっています。

 

イノベーションを起こすには、何はともあれ既存の思考の枠組み・常識からいったん離れなければいけません。

 

…そうは言ってもなかなか難しいものです。

 

日々の業務に忙殺されてはそのような思考はできないものですから、自然と休みの日に考えを巡らせます。

 

テレビをつけると高校サッカー選手権。星稜高校の選手がゴールを決めていました。

 

華々しく人差し指を立てる選手、涙目で手を振る女子高生、それは冬の風物詩。

 

いや、そんな受動的なものの見方で良いのだろうか。もっと大胆に、もっと予想外に、もっとそう、普段の思考の枠組みを超えて見れないものか。

 

・・・。

 

いまゴールを決めた彼は、ウェアの下にパンツをはいているのだろうか。

 

いやいや、それはないだろう。だがしかし、我々はある日信じていた常識が一夜で変わる時代に生きている。

 

考えると恐ろしくなってきます。

 

件の彼に限らず、電車の向かいの席のサラリーマン。弁当屋のカウンターのおばちゃん。お釣りを返すときに微妙に毎回上から落としてくるコンビニのお姉さん。金曜の夜、僕に焼き鳥を供してくれた店員さん。

 

果たして、彼・彼女らはパンツをはいているのか。

 

別に僕自身の主義主張において、パンツをはいているかいないかということはことさら問題ではありません。

 

ただ、それを知り得るすべが無いということです。

 

思考の飛躍とは恐ろしいもので、こう考えるとありとあらゆる人間が疑わしく見えてきます。

 

(みんな、本当にパンツはいてるのか?)

 

シビアな商談に出向く。応接ソファの向かいに座るあの重役は、はいているのか。

 

上書き保存を忘れて消えたExcelファイルを一から作り直す。そんな彼女ははいているのか。

 

気づくと、富山一高がゴールを決めて逆転していました。Mr.ミンティアも彼の地で「いやーキャプテン変えたらあかんて」と言っているのでしょうか。

 

出版業界にイノベーションを起こす。

 

そう考えていたつもりが、世の人びとは果たしてパンツをはいているのかいないのか。そんなことを考えるだけで半日が過ぎていました。

 

とても面と向かって相手に聞けることではないですね。けれど文章にするとこの思考の変遷を、あなたと僕とで共有できるわけです。

 

なるほど、言葉の力恐るべし。

 

そう考えると言葉を束ねた書籍とは、今も昔もイノベーションの源泉であるわけですね。

 

ところで、あなたはパンツはいてますか?

 

Written by :古越 幸太

 

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