蝦名龍郎氏、ビジネス絵本を語る。

今日の書き手:佐藤 康生

 

1月29日に発売されたぼくら社の新刊、

 

『ぼくの人生はだれのもの?』(本田直之著)

 

今回のブログでは、この本の発売を記念して、絵を描いてくれた蝦名龍郎さんへのインタビューをお届けします。

 

どうやってあの物語が生まれたのか、本田さんと同じサーファーならではの感覚、そして描いている途中で起こった大変な事件とは?

 

本とあわせて読んでいただけると、楽しみがより広がると思いますよ。

 

これまでにない達成感

 

B:蝦名さんが絵を描いてくれた本田さんの本、ついに発売されました。

どうですか?本を手にされての感想は。

 

E:これまで味わったことのない達成感というのかな、そんなことを感じてますね。

 

B:と、言うと?

 

E:僕がこれまでやってきた広告デザインの仕事っていうのは、いろんな人たちとの共同作業ですよね。 

カメラマンとロケに行って、ああ、いい写真が撮れたなぁ。とかそういう達成感は何度も経験しましたが・・・

 

B:それとは違うと。

 

E:そうですね。なにしろ、ひとりで部屋にこもってひたすら絵を描いていたわけだから。

 

B:どんな達成感なんでしょう。

 

E:うーん。難しいなぁ。言葉で表現するには、もう少し時間が必要かもしれないですね。

 

 

ビジネス絵本?わけがわかんない

 

B:「ビジネス絵本」っていうのは、編集長の安田が命名したんですが、はじめて聞いたときイメージできました?

 

E:さっぱり意味がわからなかったですね。

なに言ってんの、この人って感じで。

そもそも自分はビジネス書って何?っていう人なので、そこに絵本?

ますますわかんねぇよ(笑)

 

B:安田はときどき突拍子もないことを言い出しますからね。

どのあたりから描けそうだって思いました?

 

E:いつ頃だったかな。

みんなで編集会議をやっているときに、「絵は、本田さんが子どもにサーフィンを教えているっていう感じがいいんじゃないの」というアイデアが出て、そこからです。

 

それで何枚か絵を描いていくうちに、主人公の二人が砂浜に立っている絵ができました。

 

B:表紙の絵ですね。

 

E:そう。あれで、物語が動き出した感じです。

 

B:あの絵は、物語の始まりなんですか。それとも終わり?

 

E:うーん。

どっちの捉え方もできるんだけど、終わりかな。

 

B:ということは、そこから物語を遡って行ったんですね。

 

E : うん。

 

 

自分ですべて描いたわけ

 

B:今回の本では蝦名さんがすべての絵を描いているわけですが、最初からそのつもりだったんですか?

 

E:全然。最初はぼくら社のほかの本と同じようにアートディレクションだけをやるつもりだったんです。

それで誰に絵をお願いしようかなと、2,3枚描いていくうちに、これは自分でやるしかないと。

 

B:それはどうして?

 

E:やっぱりサーフィンの絵はサーフィンをやっている人間にしかわからないから。

絵を描ける人が思い当たらなかった。

ラフなタッチはどうかなって思っていたんだけど、それも結構合うんじゃないかって。

 

B: いい感じですよね。

本田さんも気に入ってくれて、絵については何の注文もなしですからね。

 

E:デブじゃねぇかとか(笑)

でもうれしいよね。

やっぱりサーファーだからかな。

そう言えば、この本、サーファーの友だちに見せたんだけど、みんな「よく描けてるねぇ」って言ってくれましたよ。

 

B:やっぱり見る人が見るとわかるんですね。

 

 

レギュラーかグーフィー

 

B:ところで、今回、残念ながら本田さんと会ってもらう機会はもてなかったんですけど、本田さんのイメージはどうやってつかんでいったんですか?

 

E:まずFacebookを見て、本田さんのサーフィンのスタンスを見ましたね。

 

B:スタンス?

 

E:サーファーには、左足を前にして乗るレギュラーと、右足を前にするグーフィーっていう乗り方があるんだけど、本田さんはどっちかなって思ったんです。

ちなみにグーフィーには、変わり者が多いって言われている。

 

B:へー、全然知らなかった!本田さんは?

 

E:レギュラー。

 

B:グーフィーじゃないんだ。

でも、なんとなくわかる(笑)

そこは主人公を本田さんに合わせたんですね。

 

E:そう。あとはサングラスをよくカチューシャ代わりに使っているので、そこも。

 

B : 乗っている車とかは?

 

E : あれは想像。

僕が前に乗ってた黒のピックアップトラックがモデルです。

 

B : 面白い。主人公は本田さんと蝦名さんの合体という感じですね。

 

 

手の表情で流れをつくる

 

B:この本には全部で60カットの絵が使われているわけですが、苦労したカットはあります?

 

E:とくにこのカットがっていうのはないんだけど難しかったのは、絵だけでストーリーを完結させないといけなかったことかな。

 

B:なるほど。

絵本というのはふつう絵と文字が補いながら全体の物語が構成されているケースがほとんど。

それに対してビジネス絵本の場合は、文章は文章で完結させ、絵は絵で走らせるという

見せ方をしていますからね。

 

E:そうなんですよ。

物語もすごくシンプルだから、人の表情だけではもたない。

そこで、考えたのは手に動きを持たせること。

 

B:最後に、主人公の二人がやるあれ?

 

E:そう。あと沖に出てくる少年を指差すシーンがあるでしょ。

 

B:ありますね。

手のアップだけなんだけれど、とってもいいつなぎになってる。

 

文字のレイアウトも最後まで苦労していましたよね。

 

E:文字は全部白く抜いていったんだけど、波を描こうとするとどうしても白いところが出てしまう。

自然さを失わないようなグレーにして調整しました。

 

B:波の感じはほんとに素晴らしいと思います。

ラフなのに生きている感じ。

 

 

最終ページの秘密

 

B:二人が着ているウェットスーツとボードに描いてあるマークは実際にあるんですか?

 

E:ないない(笑)僕が考えたの。

表紙の裏に描いたサーフショップ、この店のマーク。

波が湧いているところをイメージして描いたんだけど。

これもラフな感じがいいでしょ?

 

B:いいですね。

本物のお店を作っちゃったらどうですか?

 

E : 本が売れたら作っちゃおうか。

 

B : もうひとつ聞きたかったこと。

ラストのページに、to be continuedってあるじゃないですか。

あれは、どういう意味なんですか?

 

E:サーフィンって面白くて、沖へ出ないと波に乗れない。

で、沖へは自分で出るしかないんです。

そこだけは教えることができない。

自力でやらないと。

だから、

この物語は少年がその入口に辿りつくまでの物語なんですよ。

 

B:なるほど。

だから、続くわけなんだ。

最後にお聞きしますが、蝦名さんの人生はだれのものなんですか?

 

E:そうだなぁ。いまはマヤ(奥さん)とコエビ(娘さん)のものかな。

 

B:いいですねぇ。

でも、3分の1くらいは、ぼくら社のために取っておいてくださいね。

 

 

・・・・・to be continued.

 

Written by :佐藤 康生

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ぼくの人生はだれのもの?

ぼくの人生はだれのもの?