花の季節だけの運だめし。桜みくじを知っていますか?
今日の書き手:古越 幸太(ぼくら社副社長)
ブルーマンデーを乗り越えて水曜日。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
それにしてもこの時期の電車は混みますね。
フレッシャーズスーツにピカピカの革靴できょろきょろしながら立つ男子と、ストッキングを気にするそぶりの女子と、口を開けながら疲労困憊顔で眠るおじさんその他、渾然一体あれやこれ。
メトロは今日も僕たちを、どこでもない何処かへと運びます。
ぼうっと考えごとをしていると、ふと電車のドアに貼られた小さな四角い広告が目に。
混雑した車内で写真を撮るのもはばかれましたので、例のごとくインターネットの海を漂いながら探したところ見つかりました。
今井 有美さんという方の作品です。
(image by:IMAIYUMI)
京都は平安神宮で、3月下旬から4月中旬の桜の季節にだけ引けるおみくじとのこと。
よみがなは「桜みくじ」と書いて「はなみくじ」と読みます。
声に出して読みたい日本語ですね。
中のくじは吉や凶といった表記はなく、つぼみや、咲き初む、五分咲き、満開などなど花のひらき度合いが記されているそうです。
開花度合いで運勢をはかるわけですね。
花びらきを確認したら、普段のおみくじと同じように樹の枝へ結わいます。
薄桃色の桜みくじが束なる枝は、遠目に見るとそれは見事な桜模様。
眺めているうちに、心が京都へと運ばれていくようです。
そうして「京都、伏見、月桂冠。」の締めことば。
新年度を迎えた僕たちが、明日京都へ行くことはできません。
けれど、京都で生まれた淡麗辛口の日本酒を、ささやかな夕食とともに冷やでいただくことはできます。
今日も一日を生き抜こう。
電車は止まり、4月恒例の開閉ドア前スクリーンアウト合戦が繰り広げられます。
広告も扉のすき間へと消えていきます。
桜みくじ。
そこには吉も凶もないそうです。
花の季節に僕たちは、われさきへとどこへ急ぐのか。
時に、運を花にまかせて手のひらでくじを開くように、やがて消えてなくなるものを愛でるはもののあはれ。
この生活の瞬間とともに。
Written by :古越 幸太
桜色の季節、ちょっと変わりたいあなたへ。
ケンカしたあとは、 立ちソバがいいってほんと? TOKYOとPARISを拠点に、 カメラマン、エディター、アーティストと 食にかかわる多彩な活動で 注目を集めるMIHOさんの初めての著書。 食べることは、生きること。 食べることを変えたら、人生がもっと楽しくなったり、 世界が今日とは違ったふうに見えてくる。 そんなフードデザインの考え方から発想された MIHOさんのユニークなものの見方、考え方を紹介します。