ニャーチェ、ぼくらソングを歌う。
ぼくら社の居候ねこ。推定三百歳(ねこ年齢)
ときどきどこからともなくあらわれてはニャーニャーと哲学めいたことを話すので、編集長の安田によって「ニャーチェ」と名付けられた。
ねこなのに体がかたく、丸まって眠れない。
気が向くとドアを閉める特技がある。
好物は東京・麻布十番「あべちゃん」の焼き鳥。
ぼくら社の創刊一冊目『疑問論』の表紙を飾り、
本文の中で安田に突っ込みを入れているのが、ニャーチェである。
ちなみに著者の欄には、安田と並んで冒頭に書いたニャーチェのプロフィールも紹介している。
ニャーチェは、ぼくら社の設立準備を進めていく中で誕生したのであるが、最初は単純に本屋のPOPにしたらかわいいよねとか、キャラクターとして売り出しましょう的な発想しかなかったように思う。
しかし、いまではもう少し重要な役割があるのではないかと思っている。
それは、ぼくら社のテーマである「考えないと誰かの思うつぼ」を伝えるという役割である。
一見平和に見える日本社会であるが、少し考えを巡らすと、理不尽なこと、トンでもないこと、それこそ「キッタネーぞ、こいつら」と思うようなことがたくさんある。
あるのだが、それらは巧妙に隠され、一般国民には知らされないようになっている。
孔子の教えを時の権力者が曲解した、「由(よ)らしむべし、知(し)らしむべからず」の時代はいまでもまったく変わることなく続いているのである。
確かにインターネットが登場し、こうしたことに対する怒りをストレートにぶつける人や、本来あるべき姿を理路整然と述べる人がたくさん現れてきている。
しかし、残念ながら、それでは伝わらないのだ。
なぜなら一般的な日本人はストレートな怒りについて心の中では賛同しても、どうしても引いてしまう傾向にあるし、難しいリクツはとくに女性は好きではない。
広く伝えるためには、それらをお腹に収めやすいようにオブラートで包むこと、あるいはわかりやすく翻訳することが必要になってくる。
ぼくら社にとってこの役割を果たしてくれる存在が、すなわちニャーチェなのだ。
そんなわけで、ただいま制作中の曲。
ニャーチェが歌う、ぼくらソングをお届けします。
Written by :佐藤 康生
ぼくら社2013年12月の新刊発売中!