離婚したら、幸せになれると思っているあなたへ

今日の書き手:川崎 貴子(ぼくら社取締役)

 

このブログ記事を読みました。

 

こんな夫もういらない! 共働き既婚女性が離婚を考える時。 | 探偵社アヴァンス『なんでも調査隊!』はてなブックマーク - こんな夫もういらない! 共働き既婚女性が離婚を考える時。 | 探偵社アヴァンス『なんでも調査隊!』

年々上昇していく離婚率。そして、離婚率と共に上昇しているのが共働き家庭。そんな共働き女性たちが思わず「これなら独身の方が良かった」と離婚を考える時をまとめてみました。

共働きで経済的に自立した女性ならば離婚のハードルもそれほど高くなく「我慢するくらいなら離婚しよう」と思うことが多いのです。 

  

以前は友人知人のみでしたが、このブログを書き始めてからというもの、ぽつぽつとFBや知り合いからの紹介などで、「離婚相談」を受けることが多くなってきました。

既に離婚の意思を固めている人もいらして、最後私に背中を押してほしいのかな?という印象も受けるので今回はどうしても書いておきたいのですが、私は決して「離婚推進派」ではありません。

 

特にお子さんがいる場合、シングルマザー経験者としては、

 

「本当に大変ですよ。何とか修復の道はありませんか?」

 

と、「再度考え直してみてはどうか?派」です。

 

離婚をした時、私もそうでしたし、多くの離婚を発表する女性達は、

 

「離婚に関しては十分話し合った結果、今では何の後悔も無く、子供と一緒に新しい人生を歩んでいきます!」

 

と、悲壮感ゼロの晴れ晴れとした風情で人生の再スタートを切っています。

 

それは、確かに嘘でも間違いでもありません。

 

私自身、当時確かにそう思いましたし、更に言えば、今現在の幸せ(再婚後、次女出産)は離婚しなければ手に入れることが出来なかったのですから。

 

でも、シングルマザーだった当時の事を振り返ると簡単にお奨めができません。

 

「離婚するだけだって相当なエネルギーを使ったのに、その後にこんな苦行があるとは!」

 

ということが、ぼんぼん降りかかってきたからです。

 

そして、それは離婚理由も大きな要因なのではないかと思います。

 

暴力やモラハラ、借金やギャンブルなどでの生活費使い込み、働かない、アル中、浮気など、解りやすいダメな夫との離婚。子供の成育環境としても良くないですし、私自身も離婚を速攻お奨めするケース。これをAパターンとしましょう。

 

もう一つは、「性格の不一致」として語られる離婚理由。

理想の結婚生活と違っていた、結婚したら相手の態度が変わった、喧嘩が絶えないもしくは話し合いをしなくなった、相手に興味がなくなった、などのBパターン。

 

私はまさにこのBパターンで離婚し、シングルマザーになりました。

 

先日、このBパターンで離婚した女性達(既婚、シングル混合)何名かと話す機会があったのですが、皆、誰ひとり後悔はしていません。ですが、到底お奨めもできないという結論に。

 

離婚当時は気負っていたし、カッコ付けてもいたのでどこにも書きませんでしたが、

Bパターンで離婚した後に受ける当然の(でも予想できなかった)ボディーブローを、今回はシェアできればと思います。

 

 

①実の親が敵になる。

離婚理由がAパターンならまだしも、大切な孫から父親を奪ったという事を実の親から責められます。長年連れ添い、山あり谷ありの夫婦生活を送ってきた両親に取って、Bパターン離婚は理解の範疇を超えるからです。

 

「自分の人生って何? あなたはもう人の親なのよ!」

 

と、世間に変わってお仕置きをされます。

これが、離婚でぼろぼろ、シングルマザーでよれよれな時期には相当応えます。

私の場合、実父は一年以上口もきいてくれませんでした。実母はそれでも、私と孫の為にたまに手伝いに来てくれましたが、毎回毎回、

「どうして我慢ができないのか?子供の幸せを考えないのか?」

と責められる日々は「いっそ勘当してほしい。」程ヘビーでした。有難い事だからこそ、親の気持ちが解るからこそ大変でした。

 

②病気になれない

稼ぐのも、育てるのも一人。

解ってはいましたが、風邪も引けないのです。寝込めないからです。

私はいざというときは母に頼れたので未だ良かったのですが、実家が遠方のシングルマザー達は「あの頃(*離婚したて、子供が小さい)は忙しすぎて何をどうしていたのか覚えていない。」と、ほぼ記憶喪失に。想像以上に毎日がハードだけど、誰かに泣きつけない。何故なら「自分で選んだ道」だから。

 

③自己嫌悪の嵐

当然ですが、毎日元気で前向きにいられる訳はありません。

当時一歳の娘と公園に行けば、親子三人の家族が居て、お父さんに肩車されている他の子を、羨ましそうに見ている娘。

お父さん役もやろうと頑張れば頑張るほど空回りしたりしましたね。

 

また、幸せそうな親子のCMが流れるたびに、

「私はどうして結婚生活をちゃんとできなかったのだろう。」

と、あれが悪かったから、これができなかったから、などと自分を責めます。

世間やネットなどで「離婚なんかして我儘だ、馬鹿だ」と責められるよりずっと、

自分で自分を責める日々、これが応えます。

 

④経済不安

元夫はちゃんと養育費を払ってくれていましたが、私の友人知人のシングルマザー達は殆どもらっておりませんでした。養育費を払わなくなっても夫側にペナルティーはないので、実際、全離婚家庭で養育費を払っているケースは2割程度だそうです。養育費を貰っているケースでも月に3万円~5万円など。

因みに、母子家庭への国の手当も4万程度です。

子供の将来の為にも、本来はしっかり稼がなければいけない訳ですが、小さい子がいる場合再就職はかなり難しい。

結果、シングルマザーの平均年収は200万円を切る家庭が殆どだそうです。(213万円~291万円と言われておりますが、これは手当や養育費なども含まれている為)

子供がいる世帯の平均年収は658万円なので、相当な生活格差になります。これは、Aパターンも同様です。

 

⑤婚活が困難

再婚している人も多いですし、私自身も再婚しているので説得力に欠けますが、実際にシングルマザーだった頃、「婚活何て夢のまた夢」でした。夜も出歩けないし、何より忙しすぎて。

夫との出会い(日曜の昼、友人のイベントへ子連れで参加)は今でも、超偶然であったと思っています。

 

また、通常の婚活でさえ厳しい世界なのに、そこにバツイチ・子持ちで乗り込むのは相当劣勢です。離婚理由がAパターンの場合なら、「離婚するのも当然だね。」と理解してくれる男性も多いかもしれませんが、Bパターンは微妙です。下手をすれば「我儘なのかな?結婚に向いていないのでは?」などと思われることも。

その上で、シングルマザー側からしても、通常の好みや最低限の条件に付けくわえて、

「他人の子供でも親として育てられる人」

というかなり高いハードルを掲げる訳です。

離婚後の再出発で抱く再婚のイメージよりもずっと、現実は簡単ではありません。

 

⑥会えない人が増える

私の場合はベンチャー経営者同士で元々友達だったので、交友関係がかなりの範囲で被っていました。取り交わしたわけではありませんが、元夫の方が私より仲が良かった人とは疎遠になり、逆も然りでした。Bパターンの場合「本当の離婚理由」を聞かれれば、お互いの悪口大会になります。それを避けようとすると、ほぼ半数の人達と自然と離れていくことになりました。

 

⑦子供に気を使われる

娘が2歳の時から頻繁に、元夫と娘の面会時に、

「パパとママ、チューして。」

「て、つないで。」

と、せがまれて毎度困りました。

 

結婚していた時も元夫と、娘の前で手をつないだり、キスしたりなんてことは無かったので、何とか両親を仲良くさせたい一心での提案だったのでしょう。

 

あまりにもしつこいので、苦笑しながら元夫と手をつなぐと、あの時の娘は手をたたき、破顔して喜ぶのでした。

 

その笑顔が本当に辛かったです。

もうあなたのお父さんと手をつなぎたくないんだよ、という事実にも、

申し訳なくて、本当に、娘に申し訳なくて。

心の中で何度も謝った事を覚えています。

 

 

 

私も経験者なので、例え理由がBパターンであろうとも、結婚をどうしても継続しがたい、自分の人生をやり直したいと思い「離婚を希望する」気持ちはよく解ります。

 

ただ、最後にもう一度だけ、

意地やプライドを捨てて、未だ夫であるその人と、腹を割って話し合ってみて欲しいのです。

 

私の元夫は、離婚した3年後突然死しました。

元夫は亡くなる半年前ぐらいに、再婚したばかりの私と夫、そして夫に肩車された娘の3人家族に出くわしたことがあります。

お葬式の時、その時元夫と一緒に居た友人から、

 

「あの時、川崎さん家族3人が遠ざかっていくのを、彼はずーっと見ていたよ。何とも言えない顔をしていたので、俺は何も言えなかった。」

 

その話を聞いた時、元夫がどんな顔をしていたのかが解って、胸が締め付けられる思いでした。

再婚が決まった時、「俺は良い夫ではなかった、ごめん。」と、彼だけが悪かったわけではないのに謝ってくれて、私と娘の門出を祝ってくれた、その時も今まで見たことの無かった「何とも言えない顔」をしていたからです。

 

私達は、離婚して私が再婚した後、もう一切の愛情も無くなった後に、お互いやっと気づいたのだと思います。

 

私達が離婚する前いかに、夫婦が取るべきだったコミュニケーションを避け、関係修復に向けての努力をしなかったか、を。

 

そして、何故できなかったかと言えば、自分自身の意地やプライドを何より大切にし、「相手が悪いから、夫婦関係が壊れた。」と責任転嫁していたから、なのです。

 

もう、元夫はこの世にいないから、その事を詫びる事も、お互い幼稚だったね!と笑い合うことも、娘を私に授けてくれたお礼を言う事もできません。

 

 

人生は、「もしもあの時、」の繰り返し。

 

取り返しのつかない事はいっぱいあるけれど、

今なら間に合うという事もまた、いっぱいあります。

 

我が人生の様々な選択に悔いは無いけれど、するべき努力や働きかけを十分にしなかったという一点において、多分私は後悔しているのであり、

 

「若いお嬢さん方に、このいつまでも抜けない棘のような後悔だけはしてほしくない。」

 

私がこのブログで執拗に、愛やコミュニケーションについて書き連ねているのは、

それが一番の理由なのかもしれませんね。

 

Written by :川崎 貴子

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