経営者と労働者における「残業代ゼロ」という踏み絵

今日の書き手:古越 幸太(ぼくら社副社長)

 

コーヒーはブラックが好きです。
ぼくら社の古越です。


前後編で面白く読ませていただきました。

「就職、ほんとうに残念です」 会社に入るなんてマジでつまらない! イケダハヤト×小川未来【前編】  | 小川未来『就活事変』 | 現代ビジネス [講談社]
「ぼくは3年後死ぬので、会社に行くヒマはない!」 夢見て人はあっけなく死ぬ イケダハヤト×小川未来【後編】  | 小川未来『就活事変』 | 現代ビジネス [講談社]

 

インタビュアーの大学生の方、考え方が冷静で大人っぽいですね。


八百万の神がいる我らが日本では、仕事とはお上に与えて貰うものという意識が根強く、働き方というのはどうにも主義主張がぶつかってしまいますね。(本記事が真正面からぶつかり合ってるように見えないのはさておき。)

 

また、こんな記事も話題になっていました。

「残業代ゼロ」案修正へ 幹部候補に限定、年収は問わず:朝日新聞デジタル
いまは従業員を一日8時間を超えて働かせたり、深夜や休日に出勤させたりすると、企業には賃金に上乗せしてお金を支払う義務がある。当初案は、時間ではなく仕事の成果で賃金が決まる働き方を提案し、年収1千万円以上の社員のほか、一般社員も対象にするとしていた。
修正案は、中核・専門的な職種の「幹部候補」などを対象とする。具体的には、新商品の企画開発や会社の事業計画策定の現場責任者を指す「担当リーダー」、ITや金融分野の専門職「コンサルタント」などだ。一方、年収の条件を外し、高年収者でなくても導入できるようにした。


残業代論争はブラック企業についての議論と、対で語られることが多いものです。


この制度を看過することは残業代ゼロの経営を認めることと同義。と、考えると議論が炎上することにも理解が及びます。


問題は、仕事を時間で判断する否かという価値観にあります。経営者を筆頭に個人の裁量で働ける役職者あるいはフリーランサーから見れば、かけた時間に対して報酬を得ようとする姿勢は不毛なものに映るでしょう。


「仕事を時間単位で考えてるから仕事ができないんだ」、「仕事とプライベートを分けて考える時代ではない」そんな言葉になるでしょうか。


一方で、人口的には最も多い一般職。年俸・月給・時給と制度は分かれど1日8時間を超える労働に対して残業手当を受け取れることは労働者の権利です。


但し、その権利が担保されていることを監視する機能は足りず、サービス残業という言葉は今に生まれたものではありません。残業代ゼロの対象に挙げられる「幹部候補」、「担当リーダー」、「新規事業開発」などの役職名は、企業がジョーカーのように振り回せるものにも映ります。


つまるところ、ありがちな経営者と労働者の対立構造に議論が落ちてしまいます。どうしたって相容れない二者です。


先般、パソナの南部代表の発言がまとめられた記事を見かけました。

南部靖之パソナ代表「雇用消滅」「フリーターが安定した働き方」「オーディション型雇用でぱっと解散」
「雇用システムを企業単位から個人単位に根こそぎ変え、個人を会社の束縛から解いて雇用を流動化することが必要だ。アメリカでは労働者の4人に1人に当たる約3千万人が、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)事業者と呼ばれる個人事業主として企業から仕事を受注している。しかし、日本では就業規則で縛られてアルバイトもできない。会社に勤めていないと銀行は住宅ローンも貸してくれないし、クレジットカードも持てない」

 

これもまたポジショントークだと看過することは簡単なのでしょうが、やはり時代の趨勢としては否めないものかと。


雇用の流動性を否定しすぎると、翻って労働者である私たち自らの首を締めます。それぞれが気軽に複数社に社員として所属したり、中小企業同士がもっと相互の社員の能力をシェアすることができれば、それは働きやすい社会への一歩だとも言えます。


大切なのは「残業代ゼロ論争」というテーブルに乗って、さぁあなたは時間を売るのか、それとも能力を売る人間になるのか?という煽り文句に右往左往することではありません。


自分らしく生きるためにはどんな場所に属するのが望ましいのか。


大きい企業か小さい企業か。ベンチャーなのか、社歴の長い企業なのか。自ら起業するのか、フリーランスでやるのか。自身の良さが活きる環境は大勢の人の中なのか、一人なのか。回せる予算・人員・肩書き。


そんなことをあれやこれやと考えることのように思います。残業代ゼロというキーワードはその思考の本質に立つものではないでしょう。


どうしたって他所の芝生は青く見えますけどね。

そんなことは、どうでもいい話です。

 

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