富裕層が豊かであるために必要な貧乏人
今日の書き手:安田 佳生(ぼくら社編集長)
この記事を読んで
「所得の再分配」に対する不満と「効率の悪い政府」への反発からアメリカの富裕層が「州」の下の行政区分である「郡」から“CITY=「市」を相次いで法にのっとり、独立を成し遂げているのだ。誕生した「市」では、ほとんどの業務を民間企業に委託。運営コストを半分以下に抑え、減税に向けて動き出している。一方、税収が少なくなった「郡」では、福祉サービスの予算を削減。貧困層が打撃を受けている。
富裕層には常に不満があるのです。
「なぜ俺たちが貧乏人の面倒を見なくてはならないのか」
富裕層だけで独立国家をつくったら、どれほど豊かになることか。
人道的観点を除けば一理ありそうです。
でもその富裕層国家は本当に豊かなのでしょうか。
もしも世の中に富裕層国家しか存在しなければ、
みんなが豊かで素晴らしい社会という気がします。
でも実際にはそんな社会はちっとも豊かではないのです。
なぜならば、富裕層のために尽くしてくれる人がいないからです。
富裕層国家が豊であるために絶対に欠かせないもの。
それは貧乏人国家の存在なのです。
富裕層はなぜ豊かなのか。
それはお金を持っているからです。
ではなぜお金を持っていると豊かなのか。
それはお金によって他人を働かせることが出来るからです。
他人に家を建てさせ、
他人に車を作らせ、
他人に食事の準備をさせ、
他人に家の掃除をさせる。
それはお金があるから。
そして同時に、お金をもらって働く人がいるからです。
もしも全人類が富裕層になってしまったら、
富裕層のために働く人がいなくなってしまいます。
そうなってしまったら、
家を建てるのも、
掃除をするのも、
食事の支度をするのも、
全部自分でやらなくてはならない。
つまりはお金の意味が無くなってしまうのです。
富裕層が富裕層でいるために、絶対に欠かせないもの。
それが貧乏人の存在なのです。
お金さえ払えば何でもやってくれる人間がいること。
これが富裕層を存在させる唯一の条件なのです。
ただでは貧乏人の面倒は見たくない。
でも貧乏人がいなくなったら困る。
それが富裕層の本音なのです。
一人の老人を養うために何人もの若者が必要であるように、
一人の管理職を養うために何人もの部下が必要であるように、
一人の富裕層を成立させるためには何人もの貧乏人が必要なのです。
ここはひとつ、貧乏人が集まって貧乏人同盟をつくってはどうでしょうか。
そして嫌な金持ちの仕事をみんなでボイコットするのです。
どんなにお金をもらっても、絶対にこの人間の仕事はしない。
もしも全ての貧乏人がそう決めてしまったら、
こんなに惨めなお金持ちはないでしょう。
「私、社長ではなくなりました」ので、セミナー講演依頼受付中。
資本主義の次は疑問主義なのだ!
著者である安田佳生が社長でなくなり、自己破産を経験し、全てを失くした中で考えたこと。社長でなくなった人だけが言える会社の不思議、自己破産経験者だけが言える社会の不思議。立ち止まらざるを得なかった著者が、立ち止まれない現代人に贈る、気づきの数々。